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速い人はなぜ前傾しているのか?

~加速局面のメカニズム~

短距離走のスタート場面で、陸上選手たちはみな低い姿勢で前に倒れ込むように加速していきます。
その姿を見て、「なるほど、体を倒せば速く走れるのか!」と思ってしまう人も多いかもしれません。

でも実は、それ、ちょっと順番が逆なんです。

今日は、スタート時の「体の角度」と「スピード」の本当の関係について、解説していきます。

 


 

速い人ほど体が倒れている。

でもそれは「結果」

 

速く走るためには、スタート時に地面を後ろに強く押す力が必要です。
この押す力によって「床反力(地面からの反作用)」が生まれ、身体は前方へグッと加速していきます。

このとき、速く進むためには重心を前へ移動させる必要があるので、自然と体が前に傾くのです。


電車が動き出す瞬間、まっすぐ立っていたら後ろに倒れそうになりますよね?
それを防ぐために、自然と体を進行方向に傾けてバランスを取るはずです。

走りもそれと同じ。
「体が倒れる」のは、速く加速しているからこそなんです。

 

もちろん、もっと速く加速できるポテンシャルがあるのに、上体が起きてエネルギーが上方向に逃げていた場合は、より速く加速するためには倒れないといけない!というのが正解です。

ですが、自分の出せるスピードに最適な角度でなければ、倒してもスピードは上がらないのです。

 


 

無理に「倒す」と、むしろ遅くなる

 

フォームだけを真似して前傾姿勢を作っても、

  • 足が出ない

  • 重心が崩れる

  • バランスを失って減速する

といったデメリットがで出てきます。フォームを真似するだけでは速くなりません。
「倒せば速くなる」ではなく、「速いから倒せる」んです。

 


 

目指すべきは「倒れていける走り」

 

フォームはあくまで「結果」。
本当に大切なのは、地面に強い力を加えられる技術と筋力、そして姿勢の安定です。

無理やり前傾するのではなく、自然と前に倒れていけるような加速力を身につけること。
それが、本当のスタートダッシュ上達への近道です。


 

まとめ

 

✅ 体が倒せているのは「速さの結果」である
✅ 無理に倒すと、むしろスピードは落ちる
✅ 大切なのは、倒れていけるだけの推進力と動きの質を育てること

 

スタートで差をつけるなら、見た目のフォームだけでなく、
「力の伝わり方」を考えてみましょう!